今話題の日曜ドラマ『この世界の片隅に』を、毎週楽しみに見ているラディッシュ企画編集室のオハラです。
これは戦時中の広島を舞台にしたドラマで、おっとりとした主人公すずさんの、淡々とした日々の暮らしが描かれています。戦時下の苦しい状況にあってもささやかなことに喜びを見つけるすずさん。回を追うにつれ、話は昭和20年の夏に刻一刻と近づいて行きます。
……結果はわかっていても、画面の前ですずさんの幸せが長く続くようにと祈らずにはいられません。
8月は、日本人にとって大切な鎮魂の月でもありますね。
太平洋戦争で甚大な被害を受けた神戸。73年の時を経てもなお、その当時の爪痕が残っている事をご存知ですか?
目次
- 三宮に残る機銃弾痕
JR三ノ宮駅の鉄道高架
海岸ビル海側壁面の機銃掃射の痕 - あちこちに残る戦争の記憶
- まとめ
三宮に残る機銃弾痕
JR三ノ宮駅の鉄道高架
JR東海道本線の橋げたの鋼板に、神戸空襲で飛来した米軍戦闘機による弾の痕が残っています。
この鉄道高架の横には、JRと阪急をつなぐ連絡橋が同じ高さで並ぶように通っているので、そこを歩くと間近に弾痕を見ることができます。
分厚い鋼板にランダムにあく直径4~5センチの穴。恐ろしい破壊力ですね…。
太平洋戦争末期、戦闘機は建物を攻撃するだけでなく、しばしば列車や人を標的にしたそう。戦火を避けた人々が鉄道高架を伝って逃げたという話もあります。そんな人達を狙って撃ったのかもしれないと思うとゾッとします。
海岸ビル海側壁面の機銃掃射の痕
お洒落なテナントが並び、買い物客や観光客でいつも賑わう海岸通り。これぞ“観光地神戸”とも言える華やかな場所にある建物にも空襲の痕跡があります。
丸く補修した跡がたくさんありますね。この海岸ビルは米軍が占領後利用するために、爆弾では破壊しなかったのだそう。
あちこちに残る戦争の記憶
旧居留地にある神戸市立博物館の入口スロープ辺りにも、海岸ビル同様の機銃掃射の痕が見られます。
また、阪急神戸三宮駅のホームの屋根には、焼夷弾が貫通した穴を塞いだあとが何ヵ所か残っています。
生田神社には焼夷弾で焼けた楠のご神木の切株が。
まとめ
JR高架橋の弾痕のある場所からクルッと振り返ると、神戸一の目抜き通りの光景がパーッと広がります。
ありふれた日常の中に、未だ残る73年前の戦跡。物言わぬ歴史の証人を目の当たりにした時、私はただただ言葉が出ませんでした。
平和の大切さを次の世代に伝えて行く為にも、自分達の暮らす街で起きていた一番身近な戦争の事を、まず知ることから始めてみませんか?
★2017年8月15日に公開した記事に加筆修正し、2018年8月16日に再公開しました。
小原 由美
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