こんにちは!レトロ建築を見るのが大好きなオハラです。先日「京都市京セラ美術館」に行って来ました。まだ「京都市美術館」と呼ばれていた時代にはよく遊びに行っていた場所なのですが、大規模改修が行われ名称が変わってからは初めて。「開かれた美術館へ」という考えのもと、企画展などの会場以外は無料で出入りできるスペースになっていると聞きワクワクしながら建物探訪してきました♪
京都市京セラ美術館は、平安神宮や京都国立近代美術館などが並ぶ京都市左京区の岡崎公園内にあります。1933(昭和8)年に開館し、そもそもは昭和天皇即位の礼を記念して計画された建物なのだそうです。鉄筋コンクリートの洋風建築に和風の屋根を被せた和洋折衷の建築スタイルは“帝冠様式”と呼ばれ、昭和初期に流行しました。本館の建物のほか正門など6箇所は、国の登録有形文化財にも登録されています。
現存する公立美術館としては最も古い貴重な建物で、展示スペースの狭さや老朽化といった問題もあり開館80周年を機に大規模リニューアルすることに。今までの構造や意匠を生かしつつ、2020年に新たな姿に生まれ変わって名称も京都市京セラ美術館となりました。
今回のリニューアルで大きく変わったのが外観。車寄せがある以前の出入り口から一段掘り下げられた所に、新たなガラス張りのメインエントランスが作られました。美しい流線型を描くガラスには『ガラス・リボン』という可愛い名前が付けられています。
エントランスを入り、正面の大階段を上がったところに天井高16メートルの大空間『中央ホール』があります。パーッと視線が開けて気持ちのいい空間です。ここから様々な展示室に向かえる仕組みになっていて、らせん階段やエレベーター、南北それぞれの展示室に繋がる扉などが配されています。
美しいらせん階段やバルコニーは、今回のリニューアルで新設されたもの。
なめらかな曲線にときめいて何度ものぼり下りしてしまいました。
『中央ホール』の奥にある、東玄関の方に足を進めてみましょう。
大理石の柱や壁が立派な部屋を通り過ぎると・・
重厚な扉の向こうに日本庭園が見えて来ます。庭園は以前からあったそうですが、この東玄関の扉が固く閉ざされていた為、存在があまり知られていなかったそうです。リニューアルで東玄関の奥にガラスウォールで囲われた空間が増設され、扉は常時オープンされるようになりました。
ガラス張りの空間は現代アートの為の新館『東山キューブ』と、旧館とを繋ぐ役割を果たしています。室内からガラス越しに庭園を望むこともできるし、屋外に出られるようにもなっています。私が行った時は、村上隆×GUCCIの展覧会をやっていたので、池の中にキンキラの巨大オブジェが鎮座していました。
一旦中央ホールに戻って別の扉に目をやると、その奥にまたまた素敵な場所が。
ここは本館北回廊に囲まれた中庭『光の広間』。元々は野外だった所にガラス屋根をかけて屋内空間化。屋根から差し込んだ光をよく反射するよう、床はホワイトオークで仕上げられています。
こちらは、リニューアル前にはメインエントランスとして使われていた『西玄関』。映画のワンシーンに出て来そうな、重厚な石造りの階段や柱が見応えありますね~。
六角柱状のブラケットライトなどの照明は、意匠を引き継ぐために修理して大切に活用しているそうです。次はこの階段を上がって2階に行ってみましょう。
2階は、創建時の雰囲気を今に伝える『西広間』。天井のステンドグラスは、格式の高い建築に用いられる日本古来の格子に、アールデコ調のステンドグラスを組み合わせた大胆なデザインです。床を美しく彩るのは京都産の「泰山(たいざん)タイル」。




長年に渡り親しまれてきた建物の意匠をできる限り残したまま、現代にふさわしい美術館へとアップデートしていた京都市京セラ美術館。展覧会のチケットを購入しなくても入ることが可能な“パブリックスペース”がたくさんあって建物探索を堪能できました。新設されたカフェやミュージアムショップでのんびりと過ごすのもオススメですよ!

小原 由美

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