こんにちは。建物ウォッチングが大好きなラディッシュ企画編集室のオハラです。今回は建物探訪第2弾と称して、兵庫県芦屋市にある“ヨドコウ迎賓館”に行って来ました。
※建物探訪第1弾 【旧乾邸 特別観覧 大富豪の暮らしに思いを馳せて・・】はコチラから
ヨドコウ迎賓館とは
20世紀を代表する建築家として名高いフランク・ロイド・ライト氏設計による国指定重要文化財。大正7年に“櫻正宗”で知られる蔵元、山邑家の別邸として建てられました。
ライトが日本で設計を手掛けた建築物は旧帝国ホテルなど数々ありますが、当時の姿をほぼ完全に残すのは、ここヨドコウ迎賓館のみだそうです。
昭和22年に、㈱淀川製鋼所が社長のお宅として購入。現在は“ヨドコウ迎賓館”として一般に公開されています。この名建築を社宅として使っていた時期があったというから驚き!私も住んでみたい^^
自然と一体化した建物
芦屋の市街地から山手に上がっていく途中に建つ “ヨドコウ迎賓館”。ライトは建築家として常に“自然”をテーマにし、建物と周りの環境との融和を目指していたそうです。山の傾斜に沿って建てられた建物は、周囲の木々と一体となって美しい景観を作っています。
バルコニーから臨む屋根の形が “夏用の帽子” みたいに見えるのは、避暑を目的とした建物だったから!ライトの遊び心とも言われているそうです。
応接室 2階
玄関を入ってすぐにある応接室。少し窮屈な感じの入口を入ると、天井の高い明るい空間が広がります。狭い所から開放的な場所へ・・この空間構成がライトの好みだったのだそう。正面の光が射しこむ窓からは芦屋市街から大阪湾まで見渡せます。
ライトの誤算・・?
天井近くには可愛い扉のついた小窓がズラリと並んでいます。湿度の高い日本の家屋の為にと、装飾を兼ねた通風孔として設置されました。当初は網戸が入り風通しの役目を果たしていましたが、後年、ガラスがはめ込まれ明り取りの窓へと変わりました。梅雨や台風など日本の雨量がライトの想像を上回り、雨対策が優先されたのだそう。急に雨が降ってきた時にこの扉を一つ一つ閉めるのは、どう考えても大変ですよね~。
暖炉や柱は、柔らかくて装飾が施しやすい“大谷石”で造られています。旧帝国ホテルにも使用され、日本におけるライト建築を特徴づけるものとされます。
木漏れ日を演出する窓
外の景観もインテリアのひとつとして考えていたライト。西側廊下は足もとまで伸びた一面のガラス窓になっています。植物の葉をモチーフにしている飾りの銅板は、色も自然に近づけるため、わざわざ銅に緑青と呼ばれる錆を発生させるという凝りようでした。
外の木々の色を反射して廊下には緑色の木漏れ日が射していました。美しい光と影にうっとり!
和室 3階
3階のメインの三部屋は畳敷きの和室。ライトの当初の設計には和室は無かったそうですが、施主の強い要望で実現したそうです。私が訪問したのは夏だったので建具が簀戸(すど)に替えられて涼しげです。
食堂 4階
天井からの飾り支柱などが暖炉を中心に全て左右対称になった厳かな雰囲気の食堂。欧米では、“食堂”は一家団欒というよりも厳格な儀式の場という認識があるそうです。
四角形や三角形を組み合わせたデザインがあちこちに施されているライトの設計。三角形の小窓は換気の役目も果たし、昼は光、夜は星空を眺められる演出になっています。
四角すい状の天井↑や、幾何学的な廊下の天井↓も素敵。一緒に見学して回った設計士の友人は「こんな図面見せたら大工さんにめっちゃ嫌がられる!」と笑っていました。建てるのにも相当な技術が必要なようです。
舶来の電化製品が揃っていた厨房
まだほとんどの家庭が薪でお湯を沸かし調理していた大正時代に、室内の暖房をはじめ厨房など全てを電化。沿線の私鉄と直接契約を結び電力を家に供給してもらっていたそうです。ドイツ製の冷蔵庫やアメリカ製のオーブンなどを揃え、欧米並みの電化生活が実現できたのは、建築主に豊かな資産があったからこそ・・ですね。
阪神間モダニズム建築を巡ろう!
10月以降、ヨドコウ迎賓館を含め阪神間モダニズムと呼ばれる名建築を巡る、日帰り街歩きバスツアーやモダニズムクイズ巡礼など様々なイベントが企画されているようですよ!ぜひ行ってみて下さいね!
詳しくはコチラ “知る・見る・巡る~魅力再発見~阪神間モダニズム”
<ヨドコウ迎賓館詳細>
住所:〒659-0096 兵庫県芦屋市山手町3-10
TEL:0797-38-1720
アクセス:阪急芦屋川駅下車北へ徒歩10分 無料駐車場あり
開館日:水・土・日曜日と祝日
開館時間:10:00~16:00(入館は15:30まで)
入館料:大人500円・小中高生200円・幼児無料・団体、シニア、障害者割引あり
詳細はHPをご覧ください
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小原 由美
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