ラディッシュ企画編集室のオハラです。新型コロナウイルスの感染拡大により、生活様式が大きく変わって1年以上が経ちました。マスク無しで出掛けたい~!と切に思います。
毎年6~7月にはあちこちの神社で、心身を清めて疫病をはらう「夏越しの大祓(なごしのおおはらえ)」という神事が行われます。正にコロナ退散を祈願するにはピッタリ!苦しい時の神頼み!さぁ近くの神社に足を運んでみましょう!
大祓(おおはらえ)とは
古くから伝わる神社の年中行事で、6月と12月の晦日(今のカレンダーでいうと6月30日と12月31日)に行われます。6月を夏越し、12月を年越しの大祓と呼び、半年間に溜まった心身の穢れ(けがれ)や罪をはらって、次の半年の無病息災を祈願する神事です。
梅雨から夏にかけてのこの時期は昔から疫病が広がることが多く、夏越の大祓は、疫病退散の意味も込めて行われてきました。真夏に行われる京都の祇園祭も、この流れをくんでいます。天然痘、スペイン風邪、そしてコロナ・・昔も今も人々は流行り病に苦しんできたんですね。
茅の輪(ちのわ)くぐり
夏越の大祓の一環として、“茅の輪”と呼ばれる、茅(かや)や藁(わら)で作られた大きな輪っかを設置する神社があります。ここをくぐって、無病息災、疫病退散を祈念します。
鹿もくぐりに来る奈良 春日大社の茅の輪
くぐり方には決まりがあって、8の字を描くように左回り→右回り→左回りと回ります。くぐる前には必ず一礼してから。
神社によっては回りながら唱える言葉が決まっていたり、回数などが違うところもあるようです。
私が去年お詣りした京都の八坂神社では「蘇民将来之子孫也(そみんしょうらいのしそんなり)」と唱えながらくぐるよう書かれていました。
蘇民将来之子孫也ってどういう意味?
昔々、八坂神社の主祭神であるスサノオノミコトが旅をしていた時のこと。蘇民将来という民が、貧しいながらも精一杯のもてなしをしました。その真心に感激したスサノオはお礼に茅で小さな輪を作り、ひとつ約束をします。「茅の輪を腰に下げ “ 私は蘇民将来の子孫である ” と唱えれば、先祖末裔まで疫病から逃れさせてやろう」
言い伝えの、茅で作られた輪が徐々に大きくなって、今の形になりました。この故事にちなんで、八坂神社ではくぐる時に「そみんしょうらいのしそんなり」と唱えるのですね。祇園祭の縁起物である粽(ちまき)にもこの言葉が書かれています。
人形(ひとがた)
以前私が夏越の大祓に伺った有間神社(神戸市北区)には、本殿の横に人の形をした紙が置いてありました。これは“人形(ひとがた)”といって、自分の身代わりになってくれる物。名前と年齢を書いて身体を撫でたり息を吹きかけたりして、人形に穢れを移します。この儀式を行ってから茅の輪をくぐるのが正式な作法のようですが、神社によって様々です。
あとは神主さんが祝詞を唱えお焚き上げして下さるので、有間神社では人形と“お気持ち”を、お賽銭箱に納めます。社務所に志納金と共に納める神社もあります。(私の知る限りでは、茅の輪をくぐるだけならほとんどの神社がお賽銭だけでOKです)
有間神社の茅の輪は鳥居にくくりつけられていました(写真は2019年)
2021年の状況は?
新型コロナの早期終息を願う今この時だからこそ、夏越の大祓は盛大に執り行って欲しいもの。でも残念なことに、今は感染拡大予防が優先!!例年の規模を縮小したり、形を変えるなどして行う神社が多いようです。
ただ、その中でも神戸の湊川神社のように、密集を避けながら多くの人に参拝してもらいたいと、例年より早く茅の輪を設置したり(コラム1枚目写真)、参拝される方の不安を少しでも取り除きたいと、特別に茅の輪を2ヶ所に設置する八坂神社のような所もあります。お近くの神社にお詣りされる場合は、ぜひ事前に調べてから行って下さいね。
まとめ
信仰心が特に厚いわけでもないけど、毎年どこかしらへ茅の輪をくぐりに行きます。私にとって夏越の大祓は、無病息災を願うのはもちろん、1年間の折り返しのタイミングで自分を振り返り、また新たな気分で頑張ろう!という気持ちにさせてくれる神事なのです。
小原 由美
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