思わずかじりつきたくなる様なパン・・・いえ、実はこれインテリアライト!この美味しそうな癒しのあかり“パンプシェード”が神戸から世界へ羽ばたいている。
“パンプシェード”って?
パンとランプシェードをもじって名付けられた“パンプシェード”は、なんと本物のパンから作られている。アーティストの森田優希子さんのパンへの愛がこれでもか!と詰め込まれた作品だ。
本物のパンをなぜライトに?
『パンの街』神戸に生まれ育った森田さんは、小さい頃から自分で焼く程パンが好き。京都市立芸術大学在学中、ベーカリーでのアルバイトをきっかけに彼女のパン愛は一層膨らんだ。「パンは人を幸せな気持ちにしてくれます。同じ種類でもよく見ると1つ1つ個性があって、食べ物以上の魅力を感じました」。彼女にとってパンは生き物。売れ残って処分されるのを見るのが耐えられなかったそう。
「アーティストとして、このありあまるパン愛を表現したい!」と思った彼女は廃棄パンを使って模索を始めた。版画にしてみたり、スライスしてみたり、カビを発生させてみたり、オブジェの様に森の中に置いてみたり・・でもなかなかしっくりこない。ある時、中身をくり抜いて薄くなったパンに陽の光が差し込んだ。その瞬間アイデアが閃いた。暖かくて優しくて人を幸せにするあかり・・・「これこそが私の探し求めていたもの!」
そこからは試行錯誤の日々。パンの質感を損なわない事を第一に考えた樹脂のコーティング法、防腐・防カビ剤も工夫を凝らした。ライトの色・明るさもふんわりとした優しいものを。ポンと置くだけで点灯消灯ができる回路・・・「仕事の傍ら5~6年はひたすら実験と失敗を繰り返していました」。
作品の完成度が上がると人に見せたくなった。ハンドメイドの作品展に出展すると思いのほか反響が大きく、“買いたい!”という声があがった。「すごく嬉しかったけど販売するとなると5年後・10年後も保障できる品質でないと!芸術感覚だけではだめだ」森田さんは商品化にむけて意識をスライドさせていった。
“パンプシェード”世界へ羽ばたく
商品として出来上がった“パンプシェード”を持って手作り市に参加すると、多くのバイヤーの目に留まった。パリで開かれる欧州最大級のインテリア・デザインの見本市『メゾン・エ・オブジェ』で、その人気は世界規模に!
現在取扱店舗は15ヶ国に広がり、ハリウッド女優のグウィネス・パルトローさんが立ち上げたライフスタイルブランド「goop」でも紹介された。
「パンは世界の人達に愛される共通言語。国によって、親しまれているパンは違う。土地柄・歴史・経済・流通・・・その国のバックボーンがパンを通して見えてくるのも面白いです」と語る。
ちなみにこちらはインドのパン、ナンで作った時計。その名も“今ナン時”。
アーティスト 森田優希子さん
子どもの頃から手先を使って作業するのが好きだった。「熱中すると周りの声が聞こえなくなってよく怒られる子でした」。そんな彼女がパンの魅力にハマり気がつけば15年・・・。パンセムを立ち上げ、ワールドワイドに活躍するようになっても森田さんのパン愛は深まるばかり。「不思議なくらい飽きないんです」
「パンの断面にできたイースト菌の息吹。そのレースの様な美しい表情を見ることでその子のこれまでのストーリーを感じます」。
「まだまだ知らないパンの側面を見つけるのが楽しい!」と笑う森田さん。飽くなき探究心を持つ彼女が次に見つけるパンの魅力とは?
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