NHK大河ドラマ「青天を衝け」を始め、様々なドラマで活躍中の俳優 堀内正美さん。いぶし銀の魅力を放ち、名バイプレーヤーとして今、映画やドラマにひっぱりだこだ。
忙しい俳優活動の一方で、『がんばろう!神戸』や、『1.17希望の灯り』といったプロジェクトを立ち上げ、被災者のみならず、全国で起こった事件や事故の被害者の方達を支援する市民活動家としての一面もよく知られている。その堀内さんが今年8月、小児がんなどの難病の患児とその家族の為の宿泊施設 “チャイルド・ケモ・ハウス(愛称チャイケモ)” を運営する “チャイルド・ケモ・サポート基金” の代表理事に就任した。
先端医療施設が整う神戸のポートアイランドには、治療が必要な子ども達が日本全国から集まってくる。チャイケモは、そんな病気と闘う子どもや家族が、“我が家”のように過ごせる環境を提供している。(チャイケモについて詳しい事はコチラ)着任して目にとまったのは、見知らぬ土地で必死に子どもの看護にあたる家族の姿だった。自分の事は二の次に、疲れと不安を抱え疲弊している様子に、チャイケモがまずすべきことは「ご家族へのあたたかいサポートだ」と感じた。『がんばろう!神戸』などで、“今誰が何に困っているのか、どう寄り添えばいいのか”を常に考えてきた堀内さんならではの気付きだったかもしれない。「子ども達はね、疲れきったママよりも笑顔のママに会いたいはず」。病気の当事者だけでなく、視点を変えて家族の方達にも目を向けようと働きかけた。まずは誰もがホッとひと息つけるような共有スペースの整備に着手。時間のゆるす限りチャイケモに詰めては、さりげなくご家族に声を掛けたり、率先して草むしりもした。
堀内さんにとってはどれもごく自然な発想だったが「そのふるまいの全てから、大切にすべきことへのぶれない思いが伝わってきました」と、NPOスタッフの田村亜紀子さん。細かい所への目配りを欠かさず誰よりも一番動く姿に、職員の意識も変わったそうだ。運営資金のほとんどが企業や個人の寄付によって賄われているチャイケモ。堀内さんは、この施設の存在をもっと多くの人に知ってもらい、より沢山の手で支え合う事が理想だと考え、自身のSNSでチャイケモの状況を日夜発信。それに応える形でボランティア協力の申し出や、寄付金や物資が届くなど、少しずつ共感の輪が広がり始めている。自分も同じように辛い経験をしたといって支援して下さる方も多く、届けられる品々にはどれも心のこもった手紙が添えられているという。取材中、来館者に気づいた堀内さんがサッとスリッパを用意した。細やかな気配りが自然にできたり、弱い立場の人にスッと寄り添えるのはなぜですか?と尋ねると、フッと微笑みながら「モテたいからね」という言葉が返ってきた。こんな言葉をサラッと言ってのけるところが何ともチャーミング!さすが役者さんというべきか。
画面やスクリーンでは華々しいオーラを放っているのに、地元の人達が集うカフェでは、その輪の中にすんなりと溶け込む。理事に就任した時、真っ先にボランティアとして立ち上がってくれたのは、そのカフェ仲間だったという。人に溶け込み、人を巻き込む力。これが堀内さんの最大の強みだ。
病気、震災、事故は誰にでも起こりうること。決して対岸の火事ではない。「自分の子どもが元気に生きていることって奇跡なんだよ」。みんながちょっとずつ想像力を働かせて誰かのことを考えられたら。そして知恵と力を合わせられたら・・「そんな優しさが散りばめられた街になっていったらカッコいいよね」。常に自分に何ができるかを自問自答する心と、まわりの人々に注ぐ優しい眼差し。チャイケモで過ごす子どもやお母さん達から“第2のパパ”と呼ばれ慕われている堀内さん。「みんなのことも気になるし、これからは神戸で地域限定俳優として頑張ろうかな」と呟いた。それはもったいない!全国のファンが泣きますよと言うと「人生なんて瞬きみたいなもの。その瞬間に必要としている人の前で輝けたらそれでいい」。
俳優としてのオファーが絶えないのも、ボランティアの力がたくさん集まってくるのも、人間 “堀内正美” が圧倒的に輝いているからだと感じた。
※堀内正美さんFacebookはコチラ
※チャイルド・ケモ・ハウスへの支援方法はコチラ
小原 由美
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