6月のある昼さがり。「Coffee Shop LEGATO(レガート)」の一角、大きなテーブルの上には和紙や墨、筆や皿などがたくさん並んでいる。伸びやかな筆づかいでさらさらと水墨画を描く「楽子(らくし)の会」のみなさん。グループ名の「楽子(らくし)」は「いつまでも子どものように無邪気に楽しむ会」にしようとみんなで考えた造語なのだとか。
数年前までは、須磨の教室で水墨画の小森文雄先生から指導を受け「心踊らせて観て、五感を使って描く楽しさを教えてもらいました」。墨と透明水彩絵の具を使って自由な発想で描く水墨画。絵画経験のない方がほとんどだったが、どんどん面白さを感じていったという。
教室の閉講にともない「やめるのは残念!」と場所を変えメンバー4人が集まった。
今は先生の指導を受けるのではなく各自が好きなモチーフを思うままに描いている。
この日のモチーフは、紫陽花とドクダミなどの野草、そして茄子。時節に合わせてそれぞれ気に入ったものを持ち寄る。
筆が和紙に触れた瞬間、じわりと色が広がっていく。筆の動きや力加減、描く速さによって「ぼかし」「かすれ」「にじみ」など味わい深い表現ができ、すばやい筆運びで1日に何枚も描いていく。
同じ茄子を描いても、まるで一筆描きのように大胆に筆を動かす方もいれば、微妙な色合いを細かく表現する人も。
また、花びらがひらりと揺れ動く紫陽花の様子を丁寧に描き込んだり…。皆さん思い思いのスタイルで取り組んでいるのが印象的だった。
メンバーの中で唯一の男性、上村さんは斬新な手法を見せてくれた。
はじめにモチーフの紫陽花を描いていく。
次に、描いた花を墨で真っ黒に塗り潰してしまう。
すると墨が乾くにつれもとの絵がふわ~っと浮き上がり、なんとも幻想的な作品が完成する。これは小森先生に教えてもらった技法なのだとか。
墨と色と水が和紙の上でまじり合い絵の表情が変化していく。絵具の乾き具合や和紙のにじみ方が季節や気候によって変わるから、同じモチーフを何度描いても決して同じ作品にならないという。
Coffee Shop LEGATO(レガート)で展示(不定期)
思いがけず面白い作品になったり、想像以上の出来ばえだったり…。「どんな仕上がりになるか最後まで分からないのが面白いです。失敗することがなく奥深い絵になるのがこの水墨画の凄いとこ!」
ワクワクする気持ちがずっと続くのが最大の魅力なんだとか。
「この色味がいいね」「滲み具合が素晴らしい!」完成した作品をお互いに見せ合うのもいい刺激になる。好きなことに熱中する子どものように、終始楽しげな皆さんの様子に心が和んだ。
~Coffee Shop LEGATO~
住所:神戸市北区鈴蘭台東町5-7-11 かねこビル1階
TEL:078-591-0201
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田嶋 直子
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