【コラム】児童文学者のつぶやき《岸本先生の人生いろいろ》~ポジティブにポジティブに・・・~

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私の家庭での家事分担は、洗濯と二階の掃除だけになった。女房が勤めている時、そして彼女の退職後の3年間は食後の片づけ以外のほぼすべての家事は私がやっていた。退職してからは夕食を作ると言われたが、私のボケ防止のためやらせてほしいと頼んで作っていた。しかし、一年前、腰椎に嚢胞ができ、坐骨神経が圧迫され、痛みのためにうまく動けない状態になり、その時から現在の分担になった。洗濯物を干すのは二階のベランダの外なのでつらい時もあったが、這ってでも譲らなかった。何もしないで座っていると自分が消えてしまいそうで怖かった。二階はスイーパーをかける。毎日かけるのだが、どうしても箪笥と壁の間に、白くほこりが積もる。掃除機でやってもうまく取れない。足を引きずってやるものだから、つい、ま、いいか、となって、つもりに積もってきた。が、ある日、ふと考えた。掃除をしたところは掃除をしないところに比べ、こんなにきれいになるんだ、と。そうポジティブ?に考えればいいんだと思ったら、クスッと笑えて、気持ちが楽になった。女房に話すと、「そうよ、あなたは何でもネガティブに考える癖があるってずっと言ってるでしょ。もっと前に気が付けば・・・・」あとは濁したが、わかる。ほうっ、今日はそこができるようになったか。えらいやん、と一言言ってやれば、娘はピアノをやめることはなかったかもしれない。自分のことでも他人のことでも悪いところが目につき、それが口に出てしまう。教育の基本は「ほめて育てる」ことだとわかっているのに。話は少しそれるが、人生77年間生きてきて、初めて『カメムシ』にかまれた。それもよりによって金玉を。バスタオルについたままになっていたらしく、湯上りにかまれた。痛いのなんの。血の気が引くほど痛い。たかがカメムシと言い聞かせてその日は寝た。しかし、次の日になっても尋常ではない痛さだ。ネットで調べると、一日たっても痛みがおさまらない時は医師の診断を受けること、と書いてあったので、よく行く皮膚科へ行った。「カメムシ?何それ」「えっ先生カメムシです」えーっと・・・と言いながらタブレットで調べ始めた。「カメムシは臭いところに・・・」つぶやいているので慌てていった。「先生、カメムシが臭いんです」「まあ虫だからな。薬を出しておくわ」と言われて帰ったが、カメムシも知らないなんて、どうしてももう一軒皮膚科へ行かないと、と思い、地元の皮膚科へはしごした。笑われながら塗り薬と飲み薬を出していただき帰宅した。ところが3日しても4日しても痛い。しかもかまれたところが徐々に血豆のように黒くなって広がり、一週間すると1×2センチくらいまでになってきた。その頃には痛みはおさまってきたが、今度はその黒い血豆の皮が気になる。それが10日目頃ぽろっととれた。しかしそのあとにまた血が浮き出ている。そしてそれから2・3日すると白くなり、風呂に入っている時、ふあんと浮いて取れた。それを3度繰り返し、ようやく皮膚がしっかりして治り始めた。何と4週間弱かかった。しかし、これもポジティブにとらえることにした。もっと大切なところをかまれなくてよかった。こんな貴重な経験ができたなんて、学会で発表できるほどやん。そう笑って済ませている。女房は「お気楽」と言われるほどポジティブで、元気で明るい。「新聞の週刊誌の見出しに、元気で明るい嫁ほど早くボケる、と書いてあったで。あんた、きっと早くボケるわ」と言うと「いいもん。どうせ私は一人になるから、早くに老人施設に入ることにしているもん」とあくまでもお気楽だ。しかし、ネガティブ思考の私とポジティブ思考の彼女だったから、何とか子育てもできたのかもしれない。お気楽と言われようが、能天気と言われようが、物事をポジティブにとらえて生活するということは、自分の為にも、人の為にもきっとうまくいくことなんだろうなと、この年になってしみじみ思っている。

~岸本進一先生PROFILE~

神戸市北区在住の児童文学者。著書「ノックアウトのその後で」(理論社)にて1996年日本児童文芸家協会新人賞受賞。その他、ひだまりいろのチョーク(理論社)・とうちゃんのオカリナ(汐文社)・はるになたらいく(くもん出版)など、著書多数。
小学校教諭として23年間勤務。故灰谷健次郎氏と長年親交があり、太陽の子保育園の理事長も勤めた。

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「リビングパートナー」の名前で、地域の主婦の目線で情報発信。地域の主婦ならではの視点と絆で「人」「モノ」「お店」などをご紹介しています。 運営は大阪ガスサービスショップの株式会社トムコによるものです。
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