㈱トムコ発行の情報紙(1996年~2019年発行)に掲載されたつぶやきから抜粋して随時皆様にお届けします。
今回は2008年3月のコラムです。
昨年の十二月初め、ガス給湯器がダメになった。寒い朝に限って湯が出ないのだ。冷たい水が苦手な私は困った困った。すぐに大阪ガスサービスショップ「トムコ」へ電話をし、来ていただいた。修理もできただろうが、また同じことが起こるのも遠くはないような気がし、新しいものに変えることにした。今までと同じものでいいやと思っていたが、説明を聞いて「エコウィル」というかなり高額なものにした。電気・ガス料金が安くなり、十年もすれば元が取れる、という説明より私は別の理由で即それに決めた。二酸化炭素排出量を従来のものより三十二%減ないし半減できるというのだ。「地球温暖化」という言葉は今や誰もが知っている。京都議定書をまだ批准していないアメリカに対して、腹を立てている人も多いだろう。私だって同じだ。おいおい、おまえの国、おまえだけが良ければいいんかい。数年先に地球は滅びる?そんなのかんけーねぇ、と思ってんだろ。核に関してはほかの国が持つのは良くねーって戦争までしてさ。と子どもっぽい理論だとわかっていながら怒鳴りたいくらいだ。しかし、だ。それなら私自身は地球温暖化に対して、何らかのできることをしているだろうか。電気使用量を減らせば当然二酸化炭素排出量も減るとわかっていながら、暗いのはいやだからと電気を付け回る。寒いのも暑いのもダメで全室にエアコンを付けた。すぐそこのスーパーくらい歩きゃいいのに、車で行ってしまう。その他諸々・・・。温暖化は文化的生活を求めてきたすべての人々の責任である。それを忘れて、やいアメリカ、やい大企業と言ってしまう。子どもたちの未来の為により豊かな環境を残そうと声に出しながら、己は?と考えていた時のガス給湯器トラブルだった。少々高くても経済的に許されるならと、決めた。私の住んでいる鈴蘭台周辺はすさまじい勢いで緑が無くなり住宅造成されていく。周りは二酸化炭素だらけだと思うと、息苦しささえ感じてしまう。新しい家を得た幸せな人々が多い。私もその小市民の一人だ。しかし、時々「豊かな生活」というものを間違えてきたような気がして罪悪感に苛まされる。流行の言葉だし、ええかっこ言うようで嫌だが、一人一人のエコ意識の延長で、緑が残るかもしれない。地球を救えるかもしれない。自戒の意味でこれを書いた。
(児童文学者 岸本進一)
~岸本進一先生PROFILE~
神戸市北区在住の児童文学者。著書「ノックアウトのその後で」(理論社)にて1996年日本児童文芸家協会新人賞受賞。その他、ひだまりいろのチョーク(理論社)・とうちゃんのオカリナ(汐文社)・はるになたらいく(くもん出版)など、著書多数。
小学校教諭として23年間勤務。故灰谷健次郎氏と長年親交があり、太陽の子保育園の理事長も勤めた。
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今井令子
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