【コラム】児童文学者のつぶやき《岸本先生の人生いろいろ》~実は奥が深い…簡単でおいしい料理~

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「人生いろいろ」は、1996年から㈱トムコ発行の情報紙に掲載された、児童文学者岸本進一さんによるコラムです。過去140編の中から、時間の経過に関わらず楽しんでいただける作品を抜粋して随時皆様にお届けします。今回は1999年5月のコラムです。※ブログの最後にトムコからのお知らせがあります!

私は親和女子大学(現 神戸親和大学)というところで非常勤講師をしている。講義の最後の日には質問コーナーを設ける。その時決まって出てくる質問に『簡単でおいしい料理を教えてください』というのがある。別に料理学を教えているわけではない。私が日々夕食を創っていることを知っての質問だ。講義内容とは遠いこの質問を、私はよく取り上げる。というのはこの質問が奥深い問題を抱えていると思うからだ。

料理を継統的に作ったことがあるものならだれでもわかることであるが、料理というのは、手のこんだものだからうまい、簡単だからまずいということはない。私はむしろ逆で、簡単なものほどうまいと思っている。というのは、基本的に、料理というのは素材をいかにおいしくいただくかだと考えているからだ。素材を生かすというのは、素材の栄養価をうまく残すということであり、それがうまさにもつながる。料理はフランス料理でなくちゃなんて言う人があるが、そうかなって思う。フランス料理の基本は、悪い素材でもいかにおいしく食べるかという、タレの料理で、たまにはおいしいが、日常の料理ではないような気がする。

素材を生かすには出来るかぎり薄い味付けが良い。塩分や糖分の取り過ぎが諸病の元というのはだれもがわかっていることで、その意味でも薄味が良い。以前、肥満体の子供が増えてきていると書いたが、そんな子は概して濃い味付けを好むし、おやつなどで糖分や塩分を取りすぎている。体内のそれらの濃度が増すと、水分を欲する。外食した後無性に喉が渇くのはそのためだ。水分を多く取ると、細胞はどんどん膨れ、肥満体になる。子供といえど肥満体は様々な成人病の原因となる。ダイエットを目指しているお母さん方も、運動をして痩せるということより、日々の食事の味付けを薄味に戻し、素材の栄養価を残しておいしくいただくことを心がけるべきだと思う。栄養価の豊富なものを少々食べすぎてもまず肥満体になることはない。

とまあ変な講義調になってしまったが、それにしても主夫として思うこと。だれか簡単でおいしい料理を教えてくれへんやろか。
(児童文学者岸本進一)

~岸本進一先生PROFILE~

神戸市北区在住の児童文学者。著書「ノックアウトのその後で」(理論社)にて1996年日本児童文芸家協会新人賞受賞。その他、ひだまりいろのチョーク(理論社)・とうちゃんのオカリナ(汐文社)・はるになたらいく(くもん出版)など、著書多数。
小学校教諭として23年間勤務。故灰谷健次郎氏と長年親交があり、太陽の子保育園の理事長も勤めた。

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今井令子

トムコ垂水・西神店ラディッシュ企画編集室の今井です。小学生の男の子と女の子と2匹のワンコのため色々ハンドメイドするのが趣味です。人にできて自分に出来ないわけがない!と、やりたいと思ったらすぐ実践してしまうので、やって良かったこと、やっぱり無理だったことを皆さんにお伝えできれば嬉しいです。
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